からだ・病気

「第一回ダウン症候群口腔ケア・フォーラムin神奈川」に行ってきました

2019年1月19日に開催された「第一回 ダウン症候群口腔ケア・フォーラム」のレポートです

ヨコハマプロジェクトさんが主催された「第一回ダウン症候群口腔ケア・フォーラムin神奈川」にお邪魔してきました。
口腔ケアフォーラム

ダウン症児を育てる保護者として、知っておいてソンが無い情報、注意すべき事など気付きが満載でした

ということで以下、当日の資料をまとめてみました。

フォーラムプログラム内容

1.ダウン症候群に関する研究ニーズと研究動向
2.アンケート「食習慣とお口の健康」報告
3.ダウン症候群と歯の健康
4.ダウン症候群の職と栄養を考える
5.今後の活動について

1.ダウン症候群に関する研究ニーズと研究動向
発表 : ヨコハマプロジェクト 代表 近藤寛子氏

ヨコハマプロジェクト成立からその理念、ビジョン、活動などの紹介がありました。
ヨコハマプロジェクトさんの詳しい情報に関してはホームページをご参照ください。

綿密な計画と理念、考察・検証に基づく活動が、私たちに様々な恩恵=3つの事業(ふれあい・交流、情報伝達、学び合い)をくださっていることに感嘆!

近藤さん(だけで無くヨコハマプロジェクトの方々全て)はやっぱりすごい人(達)です!

今回のフォーラムは3つの活動の柱のうちの「学び会い」事業、そして、4月には「ふれあい・交流事業」のバディーウォークが開催されるそうです。

2.アンケート「食習慣とお口の健康」報告
発表 : 神奈川歯科大学 全身管理医歯学講座 障害者歯科 小松知子先生

昨年、ウェブ上で行われたアンケートの集計結果からダウン症候群の人たちの摂食傾向や口腔機能の傾向を読み解かれていました。

回答者合計116名(男性回答者67名 平均年齢8.43歳±8.06歳、女性回答者49名 平均年齢8.35±8.44歳)

ーーーアンケートの集計結果からわかることーーー

食事内容について:
回答者の内訳が比較的低年齢層が多かったこともあるせいか、ファストフードなどの摂取頻度は低めで健康を考えた食生活が送られているとのことでした。
ただ、いも類、海藻の摂食頻度は低い傾向。

口腔細菌の感染などの理解に関して:
(口腔細菌の感染を起こす)「回し飲み」に関して、「過去にしていた」29.3%、「現在もしている」31.1%との回答とのことで、回し飲みなど周りの大人からの口腔細菌の感染に対する理解がが薄い部分があることが報告されていました。

口腔機能に関して
「ぶくぶくうがいが上手にできない」「あまり噛まない」「食べこぼし」などの回答が多かったということで、「口腔機能の発達には、早期からの訓練・支援によりその延びが異なる」ということに言及されていました。

これらのアンケート結果を基に、今後の活動で、摂取する食品(抗酸化食品)を含め、口腔機能や全身の発達を促すためにはどうするのがよいのかなどの問題も今後の活動で取り上げていくとのことでした。

子どもの口腔機能の発達を考える上で、「幼少期からの生活習慣=地道な訓練」の重要性を再認識しました。

3.ダウン症候群と歯の健康
発表: 神奈川歯科大学付属横浜クリニック小児障害者歯科 高野知子先生

ダウン症候群の人たちの口腔ないの特徴と歯科疾患の具体例を実例(写真)を提示して紹介して頂きました。(写真はプロジェクター投影のみでしたので、実例写真はこのブログにはありません。)

≪ダウン症の口腔内の特徴≫ (緑字は私の注釈)



永久歯の先天性欠如 ・・・ 永久歯自体が存在していない場合がある
乳歯、永久歯の萌出遅延 ・・・ 健常者群から比べると歯の生えだしが遅れている場合が多い
乳歯の晩期残存 ・・・ 永久歯が出てこない(先天性欠如)のため、乳歯がそのまま残る例がある
矮小歯、円錐歯 ・・・歯の形が小さかったり、とがっていたり
短根歯 ・・・ 一般よりも根が短い傾向がある

*短根歯(根が短い)という特徴は、歯周病になったときに直ぐに歯がぐらつく、無くなってしまうなど深刻な結果に繋がると思われます

顎・咬合

・中顔面の発達不全⇒上顎劣成長による狭口蓋、反対咬合、交叉咬合
狭口蓋について・・・これは、長男もまさしくそうで、参考までに息子達の口腔内写真を貼りますね。(上が長男=ダウン症、下が次男=健常)
私はてっきり長男の方が上あごの天井が深いのだと思っていたのですが、どうやら顎が発達することによりより空間(凹み)が広くなる、ということのようです。

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・叢生や先天性欠如歯による空隙歯列
・下の突出や口唇閉鎖不全による前歯部の開咬

舌・口唇

・巨舌、溝状舌
・筋の低緊張による開口や口唇の乾燥

*長男も溝状舌です。(味蕾が大きめで舌が割れている)
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長男が赤ちゃんの時は、この舌が病気なのか異常なのか、とても不安に感じていました。もしダウン症候群に比較的よく見られるという知識があったなら不安にならずに済んだかもしれません。
私の主観的な感想ですが、酸っぱいものなどの刺激は苦手な傾向にある気がします。
また、たらこなど小さい粒も溝に入ってしまうせいか好きではありません。

≪歯科疾患≫

う歯(むし歯)

う歯有病率に関しては、ダウン症候群だから突出して多いという訳ではないようで、健常者とほぼ同じで口腔清掃状態による。

歯磨きの受け入れが困難であったり食生活が乱れている場合は、むし歯が多発する場合も有る、とのことで、最近の長男の傾向は要注意のようです

歯周疾患:歯肉炎、歯周炎
(歯肉炎とは歯肉の腫れ・炎症、歯周炎とは歯肉・歯根膜・歯槽骨・セメント質まで炎症している状態)

歯周疾患は90%以上に認められ(!)幼少期よりしばしば歯肉炎が見られ、歯肉炎から急速に歯周炎に進み早期発症型の急速進行性歯周炎に罹患しやすく、永久歯の早期喪失の原因となることがある、とのことです。

永久歯喪失まで一気に進みやすいのは、歯根が短いことも理由のひとつのようです。
(根が短いので、細菌で土台の骨が溶かされると直ぐにぐらついたり抜けたりしてしまう)

総括として、ダウン症に多い歯科疾患としては歯周疾患の方が顕著だそうですが、それを防ぐには乳幼児期からの長期的継続的な専門的ケアが必要だとのことでした。

幼少期から定期的に歯科に掛かり歯科受診になれておくこともポイントのひとつで、また、歯磨きアドバイスなど個々に合わせた専門的な口腔衛生管理を受けることが重要とのことでした。

他に、歯科受診で注意する点として:
心疾患がある場合、歯科受診の前に医師に歯科で使う薬剤の影響の有無などの注意点を聞いておく
頸環軸不安定症の場合、診察時の姿勢に注意が必要な場合がある
・ブリッジを装着する治療の場合、根が短いので歯周病が無いかをチェックする必要がある
とのことでした。

4.ダウン症候群の食と栄養を考える
発表:神奈川歯科大学大学院横須賀・沼南地域災害医療歯科学研究センター 李昌一先生

今回のアンケートは、ダウン症候群の方々のご家族を含めた生活の向上と健康長寿を実現する歯科医療的な取り組みの為に日頃の食習慣とお口の健康状態を知る必要があり企画。

身体の筋肉の衰えが引き起こす寝たきり状態を防ぐには、運動の他に食事も重要なポイントとなる。
食事を取るに当たっては、食品だけで無く、口腔機能も重要。

食品としては、体内の活性酸素を減らす「抗酸化食品」を摂ることが重要。
活性酸素は、体内の細菌を殺すときにも使われるので、全く悪という訳ではない。
従って、活性酸素と抗酸化食品とのバランスがとても大事である。

今後、「活性酸素」「抗酸化食品」「口腔機能」について継続的に研究して行く、とのことでした。

*抗酸化食品: 緑茶、野菜、ブルーベリー、ミネラル、ビタミンC、ビタミンE
天然のミネラルを含んだ食品ーーあら塩、味噌、醤油、海藻、ゴボウ、ごま、酢、・・・

興味深かったのがマウスを使った実験で、マウスにストレスを与えると体内の活性酸素が増加するが、何か(実験では木の枝?)を咬ませる(マウスの立場からするとストレスが有るので咬んでしまう)と活性酸素の量が減る、という結果。

ものを咬む、という運動が体内の活性酸素を減少させる効果があるらしいです。
そういう意味(活性酸素の減少効果⇒健康長寿)も含めて、ダウン症候群の人であっても口腔機能に関する取り組み、口腔ケアがとても大事のようです。

以上 最後までお付き合いくださりありがとうございました。
聞き逃しや理解不足な点など多々あるとは思いますが、少しでも皆さまの参考になれば嬉しいです。

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