離乳食は乳児から幼児にステップアップするための一大イベント。
だけど思うように食べてくれなかったり、作るのが大変だったり…心身ともに辛いのも事実。
つい早く進めたくなってしまいますが、実はゆっくり進めることで大きなメリットがあるのです。
離乳食が将来に影響するんです。
面倒でも離乳食をゆっくり進めることで得られるメリット
それは・・・
- 誤嚥事故を防げる
- 将来の肥満を防げる
- 滑舌が良くなる
それぞれ理由をお伝えしますね。
丸呑み習慣が原因となる誤嚥事故を防ぐことができます
お口の発達は、離乳食の進め方でよく表現されるように、ごっくん期、もぐもぐ期、かみかみ期、とそれぞれ段階を踏んで舌の動かせる方向が複雑になり噛む技術が身についていきます。
発達に合わせた離乳食を用意してあげることで食形態に合わせた舌の動かし方が身につくので、「この固さなら前歯で噛みちぎる」、「奥歯で噛まないと飲み込めない」とか「この大きさだと喉が詰まる」など、経験を通して適切な方法を選ぶことができるようになるのです。
逆に、発達段階を無視して月齢に合わせて離乳食を進めてしまうと、 まだ機能が備わっていない間に次のステップに進んでしまうので、丸呑みの習慣がついてしまうのだそうです。
先日開催された「ダウン症候群口腔ケアフォーラム」の基調講演で、ダウン症候群の子どもの場合は17歳でも窒息事故で亡くなった例がある、と示されていました。
定型発達の子どもと違い、筋肉が柔らかいなどの身体的要素もありますが、防げる部分=丸呑み習慣をつけないことで不幸な事故は防ぎたいものです。
噛む習慣をつけると早食いにならず、肥満になりにくい
ダウン症候群は代謝が低い傾向があります。
思春期になると、急に食欲が出て肥満になるお子さんが増えます。
幼少期は食が細くて心配していた分だけ、欲しがると嬉しくてつい「おかわり!」をあげてしまう。
その結果、1年でものすごく体型が変わった、というのはよく聞く話です。
体重が増えると、動くのが億劫になり、余計に太ってしまう…気持ちはわかりますけどね。
でも私の周りのお友達を見てみると、よく噛む習慣がついているお子さんは早食いになりにくいせいか、びっくりするほど体型が変わる、ということは無かったです。
同じ発達支援センターで摂食指導を受けたのが効いているのだと思います。
よく噛む習慣は口周りの筋肉を鍛えるので滑舌が良くなる
子どもは離乳食を発達に合わせた食形態で進めることで、舌の動かし方を学んでいきます。
小さい頃から噛む習慣がついていると、当然舌をよく動かしますし、顎などお口周りの筋肉も鍛えられます。
その結果、滑舌も良くなるのは想像つきますよね。
ある程度はっきりと聞き取れる言葉が出てくるのは、個人差もありますが就園・就学期くらいでしょうか。
言葉が出てくるためにはいろいろな要素が絡み合っているので離乳食だけが上手に話せるようになる要素ではないですけれど、大事な要素でもあります。
離乳食をあげている時期からはまだまだ先のことですが、今、この時の努力はきっと報われる時が来ます。
まとめ
離乳食は、お子さんのお口の発達に合わせた食形態で進めることが大事です。
なぜなら、丸呑みの習慣を防ぐことができるから。
丸呑みの習慣がついてしまうと…
- 誤嚥による窒息事故のリスクが増える
- 思春期以降の肥満の可能性が増える
よく噛む習慣がついていれば…
- 肥満が防げる
- お口周りの筋肉が鍛えられることで滑舌が良くなる
ゆっくり育つダウン症のある子どもの育児。
離乳食を進めることは、準備を始めとしてなかなか手がかかり、また思うように食べてくれなかったりして気持ちが萎えることもあるかと思います。
でも、急がないで進めることが将来のお子さんにとってプラスの効果が出てきます。
市販のベビーフードを使ったりして、うまく手を抜きながら焦らず進めていきましょう。
うまく付き合って気長に取り組んでくださいね。